『資本主義だけ残った 世界を制するシステムの未来』ブランコ・ミラノヴィッチ
第一章要約
世界に残っている経済システムは、資本主義のみとなったが、資本主義にはリベラル能力資本主義と政治的資本主義の二つのタイプが存在する。代表的なのはそれぞれアメリカ、中国である。
中国が主導するアジアの経済的成長により、アジアと欧米での経済的な力は均衡しつつある(ただし成長に伴いアジア各国内での不平等は拡大した)。政治的資本主義は、政治的エリート層により大きな自主性を与えるため魅力的であるのに加えて、高い成長率を約束するかのように見えるため、一般大衆をも惹き付ける。一方で、リベラル能力資本主義の一番の売りは、民主主義ならびに法の支配は、それ自体に価値があり、これらが技術革新と社会的移動性を保障することで、おおむね平等の機会が与えられるとしているところだ。